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リフォーム代金のトラブルと賃金等未払い事件

相談事例

 相談者は、安曇野市に住む50代の男性。平成17年12月21日、行政機関から紹介されて親子(父と娘)で来所した。
相手方社長の勧誘により、建設業で管工事、住宅建設(新築、リフォーム)などを行っている会社の業務部課長として、2003年3月に入社した。ところが2年後の2005年3月頃から体調不良になり、同年7月下旬から代休を使って療養をしていたが、結局、8月20日付けで退職した。
相談内容は、在職中の休日出勤分の割増賃金、営業手当、業務上の講習の受講料や受験料の自己負担分、有給休暇分の給与などの未払い賃金の請求についての相談であった。また、その他にも、その会社で工事をした自宅のリフォーム代金の支払い分として、給与を差押さえられるという問題もあったが、この件については、同月に松本労働基準監督署(以下、労基署という)に相談し、その指導により解決することができた。しかし、その他の問題については、遅々として進まず、12月になってしまった。


当センターの対応

相談者の給与は、専門職として年俸(給与と賞与)の月割りという形で月収60万円であった。この相談者の給与に含まれる職務給と割増賃金分などの割合の問題や労働基準法(以下、労基法という)上の「管理・監督者」をめぐる論争が予想されたため、翌年の2月、長野紛争調整委員会に「あっせん」を申請した。3月15日労基署において「あっせん」が行われたが、「管理・監督者」扱いをめぐり双方の言い分が平行線をたどり、結局「あっせん」は打ち切りとなった。
 その後、次の対応を検討していたところ、相談者の在職時に、その会社で自宅改修工事をやったが、自分の会社に発注した工事にもかかわらず、瑕疵のある不完全な工事をされ、そのあげく不当に高額な請求になっているという未解決の問題が明らかになった。つまり、相談者は、リフォーム代金の不当請求と「未払い賃金」などの問題と同じ会社に対し、二つの難問を抱えていた。
前者の問題については、当センターの顧問弁護士にも相談した上で、8月29日に「民事調停」の申立てをし、後者の問題については、平成18年4月から新しくスタートした「労働審判制度」を利用することとした。しかし、相談者に金銭的な余裕はなかったので、本人申立で臨んだ。
労働審判の代理人は、当初から相談者の「秘書」的な役割を果たしてきた娘さん(通信制大学に在学中)が、専門的な法律知識をもった代理人として認定された。(相手方は代理人は弁護士3人)また、リフォームの問題については、専門家の立場から松本建設労働組合のご協力を得て、現場確認と専門的な意見や具体的な見積によって、会社側の請求額の不当性とリフォーム工事の問題点を明らかにした。


相談の結果

しかし、そのような準備で臨んだ「民事調停」であったが、予想に反して、その中では相談者の主張であるリフォーム代金の減額や瑕疵に対する損害賠償は全く認められず、請求とはほど遠い解決金で終了せざるを得なかった。
一方、労働審判では、すでに前年度、当センターの相談者が松本地方裁判所で「管理・監督者」の未払い賃金事件の訴訟中だったことやユニオン(長野一般労組)が労働審判の経験があったことなどもあって、3回の労働審判で、和解金による解決をみることができた。
尚、平成18年度の労働審判事件は、全国で千件(長野県は17件)を超え、増加傾向にある。その中で、弁護士以外の代理人をたてて争った事件は、全国で3件あり、1件は山形県(労組の役員)、2件は長野県(ユニオン:長野一般、本件子女)である。(季刊「ジュリスト」No1331号 2007・4・1P20及び季刊「労働者の権利」V0l,269号 2007・4 P28、同271号P18参照)(引地強一)


労働審判とは

 平成18年4月1日から、「労働審判手続」という新制度がスタートしました。この制度は、個々の労働者と事業主との間に生じた労働紛争(個別労働関係民事紛争)に関し、労働審判官(裁判官)1人と、労働関係の専門的な知識経験を有する労働審判員2人とで組織する労働審判委員会が、事件を審理した上、調停を試み、又は事案の実情に即した解決をするために必要な労働審判を行う手続で、原則3回以内の期日で手続きが終了することにより、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ろうとするものです。審理は、長野市の長野地方裁判所民事部でおこなわれます。

   
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