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人間らしい労働環境を求めた管理監督者訴訟

相談事例

 外食産業やコンビニエンスストア大手企業の一線で働く店長たちが、会社を相手どって訴訟や労組結成などが全国各地で起こしている。松本でもユニオンサポートセンターへの相談をきっかけに、コンビニ大手とフランチャイズ契約を結ぶT社で、長時間労働の改善や賃金決定のルールづくりを求めて労組が結成された。同社は、松本市や塩尻市、安曇野市などで8店舗を経営、年商20億円を稼ぐ。2006年10月24日組合を結成。店長、副店長やパート・アルバイトなど約100名が組合に参加した。

 同社では、社員に就業規則が明示されないばかりか、36協定(時間外労働協定)や年次有給休暇制度がなく、サービス残業が当たり前だった。月間300時間を超す不規則な長時間労働などで、心筋梗塞や脳溢血で倒れる店長らが後を絶たなかった。

 労組の要求は、労基法などの法令遵守と仕事と労働にかかわるルールづくりを要求するもので、ごく基本的なものだ。会社の発展のためにも対等な労使関係と、人間らしい労働環境は必要不可欠なことである。

 しかし、会社側は店長の身分にこだわり、店長は経営と一体的な管理者だとして組合員として認めず、残業代の支払いも拒否した。結果、9月4日、労組は原告7名が店長らへ残業代の支払いなどを求める訴訟を長野地方裁判所松本支部に提訴した。(荒井宏行)


管理・監督者とは

 労働基準法第41条は、「監督若しくは管理の地位にあるもの(いわゆる「管理監督者」)」について、労働時間、休憩および休日に関する規定の適用の除外を認めており、労基法上の時間外割増・休日割増賃金の支払いは不要となっています。しかし、「管理職」イコール「管理監督者」ではありません。今回、会社は店長(部長)は、管理職だから残業代を払わないと言っており、この間労使の最大の争点となっています。日本マクドナルドや紳士服コナカでの残業代をめぐる裁判や組合結成などでも、同様な闘いとなっています。

 管理監督者の範囲について、行政通達は、経営と一体的な立場にある者の意であり、これに該当するかどうかは、名称にとらわれず、その職務と職責、勤務態様、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か等、実態に照らして判断すべき(昭22.9.13基発第27号、昭63.3.14基発第150号)としています。

 具体的には、経営方針の決定に参画しまたは労務管理上の指揮権限を有しているか、出退勤について厳格な規制を受けず自己の勤務時間について自由裁量を有する地位にあるか否か、職務の重要性に見合う十分な役付手当等が支給されているか否か、賞与について一般労働者に比べて優遇措置が講じられているか否か等が判断のポイントになります。

 各社の実態としては「課長」以上を管理監督者として扱っている例が多いようですが、法的には妥当性を欠く場合が多いのが実情です。課長について管理監督者でないとした裁判例に、「監督管理者とは、従業員の労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいうと解すべきところ、課長に就任したことによって原告が従業員の労務管理等について何らかの権限を与えられたとの主張立証はなく、役職手当が支給されたり・・・多少の優遇措置が採られるようになったことは認められるものの、これらのみでは、原告が右監督管理者に該当するとはいい難い」とした関西事務センター事件(平11.6.25 大阪地判)や、「店長らのアルバイトの採用、シフトの権限を有するものの正社員の採用権限はなく、・・・勤務時間について相当程度の自由な裁量があったとは認められないこと・・・、幹部会議で発言権を持っていたとしてもそれによって会社の人事や経営に関する重要な決定に参画していたとは言えないこと・・・、接客業務の内容はアルバイト従業員と変わらないものであったことなどに照らせば、店長やマネージャーが会社の労務管理や経営に重要事項について、経営者と一体的立場にあったとは認められない」とするアクト事件(平成18.8.7東京地判)などがあります。

 このほか、銀行本店の調査役補について、出退勤管理をうけ部下の人事、銀行の機密に関与せず、上司の手足となって部下を指導育成したに過ぎなく、経営者と一体となって銀行経営を左右するような仕事には全く携わっていないことから本条の管理監督者にあたらないとしたもの(静岡銀行事件、静岡地判昭53・3・26)があります。こうした判断基準や判例に照らして、管理監督者に該当しない場合は、使用者側に対し時間外・休日労働の割増賃金の支払いを求めることもできます。なお、管理監督者も労働者であることには違いはありませんし、労働者である以上は労働基準法の適用対象者であることには変わりはありません。


労組法第2条(労働組合)第1項
「役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任に直接てい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」

労基法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)第2項
「事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」

   
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