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会社破産と労働債権の確保

相談事例

相談者が勤務する会社は中信地方の食品製造会社で、昭和14年に操業した老舗である。 業歴は60年を超え、健康食品のブームなどもあり学校給食や事業用給食などに販路を拡大してきた。 資本金は4000万円で、平成8年頃には年3億円前後を売り上げていたが、過度な設備投資が経営を圧迫し、 消費の低迷や消費者の嗜好の変化により売り上げの減少に歯止めがかからず、金融機関も支援を中止するにいたって、 本社などが差し押さえられ、債権回収機構による競売などにより所有権が移転する事態となった。

会社は、2005年(平成17)年4月不渡りを出し倒産した。負債総額は9億円(推定)。 労働債権は29名で総額3300万円に上った。
会社には、従業員が臨時・パートなどを含め30名弱いたが労働組合がなく、数年にわたる賃金カット、遅配が続いてきた。賃金遅配が決定的となった2004(平成16)年12月の年末、相談を受けたユニオンサポートセンターは、労働債権確保のため労働組合の結成を指導。会社再建の可能性を探りながら、会社に対し、未払い賃金の支払いを求めるとともに、経営の再建を求めてきた。

しかし、2005年(平成17)年4月21日、結果として会社が経営を放棄し自己破産を申し立てたことで、 会社は全従業員を解雇。組合は、労働債権確保のための活動に移行した。

組合は、会社との間で売掛金の譲渡協定を締結し、一部の売掛金を回収するとともに、 その余の80%は未払い賃金の立て替え払い制度を活用する手続きをすすめた。結果として、労働債権はほぼ100%確保できた。

最近の企業再編リストラの特徴と労働法制

現在進行している企業の再編(リストラ)の特徴は、合併や営業譲渡といった旧来の方法だけでなく、あらゆる方法がとられている。 この間、経営側が最も経済的効率な方法を選択出来るように、商法をはじめ法律の改正がすすめられてきた。

その方法は、主として(1)合併、(2)営業譲渡、(3)会社分割、(4)業務委託・経営委任(=アウトソーシング)、 (5)純粋持株会社による子会社の統括、(6)事業所の縮小・統廃合、(7)株式取得による企業買収、(8)解散・新会社の設立である。 これらの他に、(9)MBO(マネジメント・バイアウト=特定事業の内部者による買収・独立)、 (10)資本提携(株式相互保有・第三者割当による株式引受=経営参加と役員派遣)、 (11)業務提携(新規分野・製造・販売・サービス・技術開発などの提携)、 (12)合弁会社の設立(ジョイントベンチャーなど)、(13)社内カンパニー制(法人化・非法人化のまま)がある。

この結果、労働者には様々な労働法上の問題が発生する。どれにも共通する典型的な問題として、 (1)労働契約上の身分の変動を含む人事異動の問題、(2)雇用関係の終了(解雇)の問題、(3)労働条件の切り下げ、である。  労働者の側からは、不利益変更や解雇権の濫用法理、労働組合や弁護士、ユニオンサポートセンターなどを活用して対応することが必要である。

(文責:荒井宏行 投稿者:ユニオンサポートセンター)

   
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