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運送業界における「求償」をめぐるトラブル

相談事例

相談者は松本市内に住む30代の男性社員、松本市労政課の窓口で相談し、その紹介で来所した。
平成15年8月、中信地方の運送会社(社員約20名規模)に入社し、まじめに働いていたが、同年12月に、 37時間連続勤務の末「居眠り運転事故」を起こしてしまい、その事故処理費用として、約630万円を会社から請求された。
また平成17年8月、ワイヤー不良が原因とみられる「荷崩れ事故」を起こし、その損害金として、 さらに約300万円が請求された。その結果、毎月の少ない給料から「事故返済金」として5万円 さらに自動車保険の免責分として2万5千円計7万5千円が天引きされ続け、これまでに約60万円ほど負担していた。
その後、あまりの劣悪な労働条件に耐えかねて、退職を決意し上司に、その意思表示をしたところ 「事故の損害金はどう弁償するんだ」と脅されて、辞めるに辞められない状態のためどうしたらいいか?という相談だった。

当センターからのアドバイス

「使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、 加害行為の予防もしくは損失の分散についての使用者の配慮の程度、その他、諸般の事情に照らし、 損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において被用者に対し損害の賠償または求償の請求を することができるものと解すべきである」(「茨城石炭商事事件」最判昭和51年)

労働者が使用者に対して負う損害賠償責任は、労働契約上の労働義務の履行に通常随伴することのない行為、 あるいは故意または故意と同視しうる重過失による加害行為の場合に限られると解すべきである。(ジュリスト「労働者の損害賠償責任」)

今回の相談者の事故は不法行為に該当するような重過失にはあたらないので、損害賠償責任はほとんどなく、したがって、これまで支払った分の回収も可能であると思われる。今後の支払を一切拒否して、退職できる旨、助言した。・ところが、平成17年12月27日午後、相談者より「今、上司に辞めるなら事故損害金の残額の支払いをどうするのか、はっきりさせろ!と返済を迫られている。どうしたらいいか」という電話が入った。「専門家に相談して対応する」ということで、すぐ当センターに来るように説明した。

相談結果

当センターで検討した結果、その会社は過去にも問題を起こし労働組合が対応したことがある「札付き」の運送会社であった。 相談者は長野一般労働組合に個人加入し団交を申入れて解決することになり、すぐその場で委員長から会社の責任者に対し、 一方的な求償行為は認められない旨、抗議の電話をし、さらに労働組合としての通知書を内容証明郵便で送った。 会社側は過去の労組交渉の経過もあり、「弁護士に任せる」と言うだけであった。少し気の弱い相談者は「私は労働組合を誤解していた。私は何も悪いことはしていないですよね。これで来年から新しい職場で働ける。」と涙ぐんでいた。当然のことながら、その後、会社からは何も言って来ない。

(引地強一)

   
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